理事長所信

2017年度 理事長所信

公益社団法人豊橋青年会議所 2017年度

第66代理事長  西島 豊

 
Glocalization

~広大無辺な視野で地域と向き合い、まちをつくり、ひとをつくる~

 

豊かさとは何か
現代に生きる我々にとって豊かなくに、豊かなまち、豊かな生活、豊かな人生とは

 

 

はじめに

戦後、急激な高度経済成長によって世界の経済大国となった日本。恵まれた国として満たされたが故に見失い忘れてしまったものがあるのではないでしょうか。そんな中で日本が直面した東日本大震災。この経験は我々日本人が見失い忘れてしまったものを思い出させてくれたものがあります。それはひとを思う心の豊かさであり、日本人が古来より大切にしてきた利他の精神に改めて気付き、行動することでひとは輝きを増すのではないでしょうか。経済という物質的な豊かな国としてではなく、日本人がそこに暮らす豊かな国として世界から改めてその価値が認められようとしています。

 ものごとの継続は力なり。神武天皇の建国から続く我が国日本、そして世界一長寿企業が多い我が国日本。創始、創業の精神を継承して時代と共に進化し続けたからこそ今の日本があります。その社会構造変化のスピードは更に加速している今、くにづくりもまちづくりも短期的な視点ではない長期的視点にたったビジョンと活動を本質的に、そして継続的に取り組んでいかなければ時代にあった形へ進化していくことは非常に難しくなります。我々もまた、伝統と伝承を礎に2011年に創立60周年を迎え、以降10年間における運動の方向性を2010年代運動指針として策定し、2016年までの5年間にわたり運動指針に基づく活動を行って参りました。そして創立65周年の節目を迎えた昨年、2010年代運動指針の折り返しのこの年に運動指針の見直しを行い、創立66年を迎える本年度より2010年代運動指針(2016年改訂版)に基づき、創立70周年、そして100周年を目指して地域からより必要とされる魅力的な組織としてものごとの枠や慣習にとらわれることのない地球規模の広大な視点で、地域特有の魅力や文化を最大限活かし、まちづくり、ひとづくり活動を継続的に展開して参ります。

 

LOMの未来のために今我々がすべきこと

我々がより多くの事業を行っていくためには、ひとりでも多くの仲間が必要であり、仲間を増やす活動もまちづくりに繋がる最も重要なひとづくりであります。青年会議所しかない時代から青年会議所もある時代になったと言われる今、より魅力的で市民に必要とされる組織でなければならないと思います。相手に条件を当てはめるのではなく我々の組織、そしてメンバー一人ひとりが輝く存在であれば、自ずとひとは輝きを求め、集うのではないでしょうか。会員が減少傾向にある中で今、我々がすべきことは明確であり、それは一人ひとりがどうすべきか考え知恵を絞り出し、会員としての自身の中での明確な真実(こたえ)を持ち自分自身が変わり、そして同志と力を合わせて具体的に行動すること。悲観的に現実と向き合うのではなく、輝く未来へ向けて兎に角行動していくことが重要です。その未来に向けた行動は、ひとを輝かせ、必ずその輝きにひとは導かれるはずです。そして、我々が国際社会の一員として可能性を見出す視野を広くし、グローバルな視点と考えを持って同志を求めていけること、それがこの団体だからこそできることであります。出会いは世界に広がっていて、視野を広く持てば自ずと可能性が世界に広がっていきます。

 

自らの行動で組織が変わりそして地域を変えていく

組織にとってメンバー一人ひとりの自己研鑽による成長こそが、最も大切な基盤づくりに繋がっていきます。一人ひとりが自分自身と向き合い、他への批判でものごとを変えるのではなく、己がその責務と向き合い、自発的に、そして積極的な行動によって自分自身が変わっていかなければなりません。全メンバーが自発的行動に徹し、総会という意思最高決定機関での未来に向けての活発的な取り組みに始まり、メンバー同士が思いと考えを分かち合い共有し、そして地域へとしっかりとメッセージを発信して伝えていくことも非常に重要であります。我々の活動を市民により分かり易く確実に伝えることで、行動する市民と共に地域を変革する団体として市民と行政と密接に連携していくことができます。だからこそ、その活動の礎は、一人ひとりが決められた最低限のこと、そして当たり前のことを当たり前にそして真摯にできることが何より重要であります。

 

地域でそして世界で活躍できる組織へ

グローバル社会の今、グローバルと聞くと海外に赴いたり英語を話したりする社会のことをイメージされやすいですが、地球規模の視点でものごとと向き合うことが重要であると思います。世界の中の日本、そして日本の中の東三河、そして豊橋として今、広いグローバルな視点でものごとと向き合い、時代にあったより魅力的な組織へと豊橋青年会議所も進化をしていかなければなりません。我々は企業、そして地域を導くリーダーであり、我々自身の成長が企業の成長、そして組織の成長となっていきます。今の時代を生き抜くリーダーとしての我々の真価を求めて、我々一人ひとりがグローバルな視点でものごとを捉え、目に見えないものに目を向けたまちづくり、ひとづくりをしっかりと進めて行くことができる明確なビジョンを掲げて地域と共に歩みを進めて行かなければいけません。目に見えるひとやもの、資産に目を向ければきりがなく自然と他との比較が生まれ、その結果、優劣・損得でものごとを判断する結果となってしまいます。強いもの、資財を有するものが生き残るのではなく、個の有する特有の価値に目を向け、その自身の価値を継続的に高めていくために進化しつづけていくことが重要なのだと考えます。それには我々自身が心の目を養い、目に映らないものに目を向けて、そしてその価値を見出し高めていくことが必要となります。

 

地域にそして世界に必要とされる日本企業について考える

 我々は青年経済人であり、企業としての本業も地域貢献の最も大きな役割と責任を持っています。グローバル社会でビジネスを展開する我々の環境も常に大きく変化しており、企業としても、そしてそれを導く経営者としても時代と共に進化していかなければなりません。技術によって世界中が密接に繋がる現代社会において、インダストリアル4.0のようにこれから訪れるIoTやAI技術の進化による革新的産業構造の変化により、ものの価値やサービスの在り方が根本的に変化し、企業としてもこれまでの既存のサービスや考え方にとらわれることのない新たな付加価値の創造が求められる時代に突入していきます。だからこそ今、地域と繋がりを持つ企業としての役割について考え、地域と共に産業が発展し、そして企業の成長と共に地域が発展していくための取り組みを進めて参ります。法人格によって定められている企業、つまりは法の定めによって社会から人格を与えられた組織として、ひとと同じように企業としての人格を形成して社会、そして地域から必要とされる価値を創出し、そして継続していくことこそ、日本企業に最も求められていることであります。日本企業の価値とは資本力だけに目を向けた他社との競争ではなく、独自の企業文化や社風、そしてそこに関わる人々のやりがいや愛社精神の醸成など日本人のこころにあるような目に見えない企業独自に有する価値に目を向け自社の価値を高めていく経営であると考えます。

 

市民主権の推進

 まちづくりはくにづくりに繋がり、我々はくに、そしてまちを支える主権者としての意識を持ってまちづくりに向けた具体的行動に移すことが何よりも重要であります。選挙権が18歳以上へと引き下げられた昨年頃から学校教育においても選挙の意義や政治の仕組みに関する知識をはじめ、主権者としての政治への関わり方、強いて言えば政策リテラシーを身に着けさせるための政治参画教育が取り入れられ始めています。しかし、政治というものもまた行政や学校教育では補い切れない形の見えにくいものであり、だからこそ、我々青年会議所としての役割は大きく、教科書という明確な形だけでは補うことのできないこの政治参画教育、そしてその先にある強く、そして魅力的なくにづくりを実現していくための取り組みを積極的に推進していくことこそ、我々に求められていることであると強く感じています。市民一人ひとりが政治に関心を持ち、政治に関して正しい知識と見解を持ち、自分たちのまち、そしてくには自分たちの手でつくっていくという強い主権者意識を持ち、形だけではなく本質的な関わり方を重視して具体的行動へと移していかなければなりません。

 

これからの広域連携を考える

 我々の生活するこの東三河は全国でも屈指の農業生産高を誇り、日本の産業を支えるものづくり産業、東三河の工業を支える港、高速道路などインフラも整備されており、「とよがわ」の恵みによって住民は豊かな生活をおくることができる魅力溢れる地域です。そして、2012年4月にはこの地域に東三河県庁が設置され、2015年1月には東三河広域連合が発足し、行政区域にとらわれない広域的な具体的取り組みが始まってきています。まさに地域主権社会を見据えた動きの中にある地域と言えます。これまで我々は「東三河はひとつ」を合言葉にこの地域の人々へ東三河の魅力と可能性を伝え続け、豊橋青年会議所だからできる役割を果たして参りました。今一度、我々自身がこの地域に貢献できる豊橋青年会議所だからこそできる取り組みを地域と共に具体的に考え、そして広い世界の中でもこの地域だからこそ実現できる可能性を、広い視野と豊かな発想で取り組んでいくことができれば、必ず世界にも誇れる豊かな地域の実現へと進んでいけると信じています。そして何よりこの地域に暮らす人々が東三河への誇りを持ち、心から豊な生活が送れる地域へと発展していくことができます。だからこそ、今我々自身がひとつになって歩むべき道を見定めて行かなければいけません。

 

日本の未来に向けての次世代育成事業

くにづくり、まちづくりはひとづくりと言われるようにひとこそが礎、レアメタルや天然資源が豊富にない日本にあるものはひとであり、勤勉で個より集団を重んじる価値観、利他の精神を古来より受け継がれ持つ我々日本人としての輝きを最大限活かすべきだと考えます。そしてこれからの未来を築き上げて行くのは次世代を担う子供達であり、その教育にこそ最も注力すべきことではないでしょうか。次世代を担う子供達こそがくにの宝であり、その子供達が明るい未来を描ける導きをしていかなければいけません。時代は刻々と変化しており、その変化に応じて自らが主体的に考え、具体的に行動していくことのできる力が必要となります。何もなかった時代からもので満たされた現代に生きる子供達。ものでは満たされない心の豊かさの大切さに気付き、目に見えない価値あるものを見出すことのできる心の目を養っていきたいと考えます。豊かな心は掛け替えのない自身の財産となり、形あるお金やものは奪われてしまいますが、心の財産は決して人に奪われることのない生涯の財産となって残り続けます。その心の財産は常にひとへ、地域へ感謝の気持ちを与えてくれ、その気持ちが自身を更に育む肥やしとなり、彼らがいずれ更に豊かで強い日本人が暮らすくにを築いていってくれます。

 

世界に誇る豊橋へ

 豊橋に住んでいて耳にする言葉に、住みやすく暮らしやすいまち、自然環境にも恵まれ農商工の産業バランスも調和のとれたまちであると言う言葉があります。その一方で特徴がなく地域性も保守的であると言った言葉も耳にします。決して変わらないことが一概に悪いことではありませんが、くにもまちも創始の理念、精神を守り実現させていくためには、より時代に合わせて変わっていかなければならないものがあります。我々青年会議だからこそできるまちづくりは、他と比較してまちや地域にある・ないという目に見える有形財産の比較だけに留まらずに、市制をさかのぼる歴史やルーツ、方言や文化情勢に至る背景、そしてグローバル社会の中で隣接した関係ではなくても、深く強く関わり合いのあるものごとの繋がりなど、無形財産ともいえる市民の目には映らない豊橋特有の魅力を見出しまちづくりに活かしていけることだと思います。豊橋市制110年を迎えた昨年、未来に向けたまちづくりを市民が主体的に関わり、豊橋の特徴を活かしたまちづくりを進めて行く今が好機ではないでしょうか。豊橋だからこその特徴あるオンリーワンが輝きを放ち、グローバル社会においても誇れる愛すべき故郷として発展していける、そんな導き役として我々はこのまちの魅力を全力で発信していきます。

 

国際活動団体としての魅力を最大限に活かした連携した活動へ

 2017年度、愛知ブロック協議会会長輩出という大きなミッションを授かりました。そしてまた、日本青年会議所をはじめ多くのメンバーが出向という機会を活かしグローバルに活躍するチャンスを授かることとなります。今の豊橋青年会議所があるのも先人達の活躍の礎があるからこそであります。日本青年会議所会頭輩出LOM、そして全国会員大会の開催地LOMである豊橋青年会議所として、今一度世界に目を向けて視野を広く持ち、グローバルネットワークを活かした活動、そして連携を進めていくときです。

 

そして未来へ

国家にも企業にも組織にも変えてはいけないものがあり、それは創業、創始の精神。そしてそれを守るために多くのものをフレキシブルに変えつづけて常に時代にあった姿に進化していかなければなりません。ものやサービスに溢れ何不自由なく生活を送ることができる現代、目に見えるものに満たされた豊な社会に暮らす今の我々にとって本当の豊かさとは何なのか。そこに気付くには今、目の前に映し出されている目に見えているものではなく、目には見えないものを見出し向き合っていくことが何より重要なのだと感じます。

東日本大震災以後、今も尚継続的に現地を訪れる活動の中で常に感じることがあります。それはすべてを失いながらもたくましく生きる子供達の目。家も家族も失い絶望を経験したその子の瞳は奥の奥まで澄んでいて、そして力強くしっかりと未来を見つめています。私は世の中の目に見えているものはその極一部であり、世の中に大いなる影響を与えているものの、ほとんどが目に見えないものであると感じます。ひととしての信念や志、同志との絆や友情、家族との愛情、時には悲しみや苦しみや痛み、そして教育や哲学、倫理など人生にとって大切なものの多くは目には見えませんが常に我々の身近にあり、そして何より大きな影響を与えているものばかりであります。JC三原則である修練・奉仕・友情もすべてが目に見えないものであり、その目に見えない価値と向き合い見出すことができる組織こそが我々青年会議所でなければなりません。ものの豊かさから心の豊かさへ、その心の豊かさへ導いていくことのできる豊橋青年会議所は、地域に必要不可欠な組織であり、次代への先導者と成り得る価値があります。

現代は技術の普及により世界中のあらゆる情報やサービスが目の前に存在し、世界が我々の身近にあります。そしてこれから世界は更に加速して大きく変化していく今こそ、よりグローバルな視点でものごとを捉え、視野を広く、そして目に見えないものの価値を見出すことで、世界の日本として、そしてそこに住む我々日本人の価値が世界に認められていくときだと思います。

それを実現できるのは我々豊橋青年会議所であり、我々自身であります。

豊かさの架け橋と成りえる存在、それが我々豊橋青年会議所であるのだから。

 

変えてはならないものを守るため 変えて行かなければならない

新日本の再建を夢に描き 起ち上がった先達の 創始の志を胸に